アリックスパートナーズ、ディスラプション・インデックスを発表

東京, 2021年04月21日 - (JCN Newswire) - グローバル・コンサルティング・ファームのアリックスパートナーズは、世界のビジネスリーダー(CEOや経営幹部)が、ディスラプション(破壊的変化)をいかに捉えているかを調査した結果をまとめたレポート「アリックスパートナーズ・ディスラプション・インデックス2021年版(The 2021 AlixPartners Disruption Index)」(以下、本レポート)を発表しました。新型コロナウイルスの感染拡大がこれほど世界に広大な影響を及ぼしているにもかかわらず、ビジネスリーダーたちは自社の事業変革を迫られるようなディスラプションをもたらす要因として、現在のパンデミックよりも、既存およびこれから想定される競争環境、テクノロジーが変えるプロセス、そして規制環境の方が、より大きなインパクトをもたらすことになると考えていることがわかりました。

本レポートでは、ビジネスリーダーたちは、新型コロナ危機の終息後を見据え、新たなディスラプションに対応すべき準備を始めていることが明らかになりました。従業員の健康、リーダーシップ・トレーニング、投資領域などに注力しながら、職場の社内方針から経営戦略に至るまで今後の恒常的な変化に備えています。

アリックスパートナーズのグローバル最高経営責任者(CEO)のサイモン・フリークリーは次のようにコメントしています。「今まさに深刻な状況にあるにもかかわらず、調査結果からは、ビジネスリーダーたちは足元のパンデミックよりも、AI・自動化の波や環境問題といったより長期的な経営課題の方が、ビジネスに与えるインパクトが大きいと考えていることがわかりました。今回のパンデミックが既に世界に甚大な影響を及ぼしていることを鑑みると、今のビジネス環境においてディスラプションの力がいかに大きく、衝撃的であるかがわかります。ディスラプションが新たな経済の原動力となることは明らかです。」

混乱の中で道筋をつける:ディスラプションの時代に求められるリーダーシップ

本レポートでは、世界のビジネスリーダーの85%がディスラプションは企業や社会が直面している最大の戦略的課題であるとしているにもかかわらず、これを乗り切る自信を持っていると回答したリーダーは37%にすぎませんでした。実際、Cスイートと呼ばれる経営役員の51%はディスラプションによって自身の地位を失うことを懸念しています。一方、こうした厳しい状況にもかかわらず、その内の10人に4人は自社の組織が1年前より良い状況にあるとみています。

サイモン・フリークリーは次のように述べています。「2020年は企業活動に大きなプレッシャーがかかるリスクの高い一年でしたが、高いパフォーマンスを上げている経営幹部はディスラプションの存在に気を配り、積極的に対応することでビジネスを前進させています。また、成功している経営幹部は混乱と複雑さの中にビジネスチャンスを見出しており、ディスラプションがもたらす様々なインパクトを単に軽減するだけでなく、逆にそれを前向きに活かすような対応を進めています。」

ディスラプションをビジネスチャンスとして捉えることができる経営幹部を成功者とするならば、同様のアプローチを自社の組織に所属する全メンバーに醸成していくことが、ビジネスリーダーにとっての重要な職務となります。一方、世界のビジネスリーダーの52%は、組織がディスラプションに対して脆弱になる要因として「人材ギャップ」を挙げています。中でも、Cスイートと呼ばれる経営役員に至っては、この割合が59%に増加します。ディスラプションへの対策として、経営幹部の53%は「新たな技術への投資」を最優先事項に挙げていますが、その多くが早急に取り組むべき課題として、「人材ギャップの解消」を挙げています。

サイモン・フリークリーは次のように付け加えています。「ビジネスリーダーは長年にわたって優秀な人材を獲得することを優先課題としてきましたが、ディスラプションによって企業を取り巻く環境が変化する中、人材に再び焦点が当たっています。ディスラプションに立ち向かうには、能力や知識といったスキルセットを変えるだけでなく、各人のマインドセット(物事に対する見方や考え方)を変えることが必要です。ディスラプションのうねりの中で最も成功するのは、機敏性を担保するデジタル・ツールと技術力を備えた上で、Agility of thinking(環境変化に応じて考え方を柔軟に変える力)、Speed to action(迅速な行動力)、Relentless focus on execution(計画実行への執拗なまでのフォーカス)を有する企業になると考えます。」

今回の調査で判明したハイライトは以下の通りです。

●ディスラプションが自社のビジネス、従業員、雇用の安定へどのようなインパクトをもたらすかを常に考えている経営幹部は、1年前に比べて組織の状況が良くなっていると回答しています。世界の経営幹部の39%が1年前よりも組織が良くなっていると考えています。そして「良くなっている」と回答した経営幹部の約40%はディスラプションをビジネスチャンスとみなしている一方、「悪くなっている」と答えた経営幹部のうち、ほぼ同じ割合の約4割がディスラプションを脅威と捉えています。

●世界の経営幹部の65%は2つ以上のディスラプションとなる要因の影響を強く受けており、その対応策として組織は平均して3から4つの対応策を取っているとしています。最も多い対応策は新たな技術への投資で、回答者の53%を占めています。

●ディスラプション乗り切ることができるかについて「大いに自信がある」と回答した世界のビジネスリーダーは全体の37%で国別にみると、中国は50%、米国は48%と両国の経営幹部は大きな自信を示しています。それに対して、イタリアと日本の経営幹部の回答はそれぞれ31%、24%と、ディスラプションを乗り切る自信は調査対象国の中で最も低い結果となりました。さらに、英国と日本では、ほぼ3人に1人(31%)の経営幹部が、ディスラプションを機会ではなく脅威と捉えていることがわかりました(対象国全体では23%)。

●また業界別にみたところ、航空宇宙・防衛産業の経営幹部がディスラプションの影響を乗り切ることに最も自信があるとしています(「大いに自信がある」は45%)。一方、自動車産業の経営幹部は最も自信がない(「大いに自信がある」は29%)という結果になりました。

●日本に関する結果をみると、対象国全体と比較して違いが顕著であった項目は、「組織がディスラプションに対して脆弱になる要因は人材ギャップにあると思っている」(日本68%、対象国全体52%)、「ディスラプションを乗り切るために必要な取り組みを行っていないことを懸念している」(日本63%、対象国全体48%)、「ディスラプションによって自身の地位を失うことを懸念している」(日本57%、対象国全体45%)、と日本企業のリーダーがディスラプションを脅威と捉える傾向が強いことが明らかです。また、コロナによるインパクトを他国よりも強く感じていることもわかりました(日本30%、対象国全体25%)。

最後に、アリックスパートナーズ・アジア共同代表および日本代表の野田 努は次のようにコメントしています。「本レポートが示す通り、日本企業の多くがディスラプションを脅威として感じているようです。しかし、新型コロナウイルスに代表されるディスラプションは、企業にとって脅威でもあり、次のステージへと飛躍するチャンスとも成りえます。ディスラプションは、各企業が抱える本質的な課題を顕在化させることで、経営陣に真の改革を迫ります。そして、そのような困難な状況を能動的に活用し、成長の布石である買収や、抜本的な構造改革、事業ポートフォリオの入れ替えなどの抜本策を打てる企業が、今後の日本経済を支えていくことは想像に難くありません。」

本レポート(英語)はこちらをご覧下さい。 https://disruption.alixpartners.com/

アリックスパートナーズ・ディスラプション・インデックス・レポートについて

グローバルコンサルティング会社のアリックスパートナーズが、世界のビジネスリーダー(CEOや経営幹部)が事業変革を迫られるディスラプション(破壊的変化)をいかに捉えているかについて調査し、その分析結果をまとめたレポートです。詳細は disruption.alixpartners.com をご参照ください。

【調査概要】
対象者:売上高5000万ドル超の企業の経営幹部3149名(25歳~65歳、ディレクター以上)
対象国:米国、カナダ、英国、フランス、ドイツ、イタリア、スイス、中国、日本の9カ国
業界:航空宇宙・防衛、自動車、消費財、金融サービス、メディア・娯楽、小売、テクノロジー、通信・ケーブルの8業界
調査期間:2020年11月16日~2021年1月4日

アリックスパートナーズについて

1981年設立。ニューヨークに本社を構える結果重視型のグローバルコンサルティング会社。企業再生や企業が直面する緊急性が高く複雑な課題の解決支援を強みとしている。民間企業に加え、法律事務所、投資銀行プライベートエクイティなど多岐にわたるクライアントを持つ。世界20都市に事務所を展開。日本オフィスの設立は2005年。 www.alixpartners.com

注記:2021年4月14日に米国で配信したリリースをもとに作成しています。